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トウバ奮闘旅行記 6 コンテスト出場

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ホーメイコンテスト~ラストを飾る<6/13~15>

6/13、クズルにもどる。明日はシンポジウム。朝、パレードもあるらしい。明後日はコンテスト。どうなるのやら。

ユルタというテントの宿舎

シンポジウム参加者の宿舎はユルタと呼ばれる独特のテントが集合するテント村。クズルから車で40分かけて移動する。遠くて不便だが、ここの景色も素晴らしい。エニセイ川の滔々とした流れに圧倒される。

 

 

 

 

 

シャーマンの儀式に集った人たち

この日の夜、テント村の丘の上でシャーマンの儀式が行われ、シンポジウム参加者100名ほどが参加した。火を焚き、なかなか迫力のあるもので、終わりころ、偶然かもしれないが、小雨が降ってきた。

 

 

 

 

エニセイ川の豊かな流れ

6/14、私は疲れもあって、シンポジウムはさぼって、ユルタの宿舎で1日ゆっくり過ごすことにした。エニセイ川の流れをながめていると、トゥバの人たちが本当に厳しい自然の中で生きてきたことが実感としてわかった。眼下に広がるエニセイ川の流れは半端じゃない。深く豊かな水量で、ものすごい速さで流れていく。大木も押し流しながら、渦を巻き、小さないくつかの渦がひとつになり、大きな水の塊となって浮き上がり、また押し流される。落ちたら確実に溺れて死ぬだろう。3・11の津波の映像を思い出した。川の向こう岸には、豊かな森や山がのどかに広がっている。が、辿り着くのは容易ではない。ふと、向こう岸まで声を届かせたいという欲求にかられた。大昔、そんな思いにかられた誰かが、やむにやまれず、人間の声を超えた響きのある、原始的で動物的な声を使い始めたのかもしれない、と思った。

 

コンテスト会場。日本人の出場者。着物が可愛い。

6/15、コンテスト当日。我々の出番は、ソロ部門のあと、アンサンブル部門のラストだ。つまり、全部の出し物のラスト。コンテストはAM10:00~PM6:00の予定だったが、押しに押して、出番はなんと22時半過ぎ。待ち長かった。
それにしても、コンテストのレベルは予想通り相当高い。トゥバ、中国、モンゴルの参加者は本格的で、超絶技巧のホーメイが繰り広げられ、演奏や歌を堪能した。ソロで日本人も5人出場。巻上ツアーのメンバー3人と、現地に3ヵ月間ホームステイしている2人。技術の差はあるが、みんな工夫をこらしている。ほかにも外国人がたくさん参加していて、伝統音楽に新しい息吹を吹き込む役割を果たしているように思えた。私のお気に入りは、エンリケというアメリカ人。ステージングがうまく、ホーメイをエンターテイメントとして見せよう、という意欲が感じられる。

 

すべての演奏が終わり、いよいよ出番となった。朝からこれだけすごいホーメイを聴き続けると、もうどうにでもなれ、という気分になる。ヴァレリーさんは審査員で出られないので、息子さんが代わりに出てくださった。ウッペイさんもいるので心強い。
そして本番。失敗もあったが、お客さんが手拍子で助けてくれたりして、何とかやれた。私も、なんとか最後まで唄うことができた。たくさんの拍手やブラボーのかけ声もいただいた。みんな、暖かい。旅の仲間と、このステージを踏めたことが本当に嬉しい。信じられない経験だった。

ガラコンサート用に飾られたシアター

6/16、コンサートの翌日の夜、国立劇場で授賞式とガラコンサートが華々しく行われた。国をあげての盛大なコンテストだったことがよくわかる。大統領のスピーチから始まり(なんと、ここでも巻上氏は大統領に名前をコールされ、挨拶していた!)、美女のプレゼンターたちが賞ごとに違う衣装で、踊りながら次々に登場する。グランプリは、モングンオールさん。史上初の2冠!超絶技巧のホーメイが素晴らしい。今年の9月に来日する。ぜひ、彼のホーメイを聴いてほしい。芝居や音楽を志す人なら、必ずなにがしかシンパシーを感じるはずだ。

日本人もめでたく2人入賞した。ツアー仲間の鎌田英嗣さんと、現地滞在中の寺田亮平さん。2人とも本当にうまい。

鎌田さんは、あえて古い楽曲を掘り起し、カラサル・アク・オークのメロディを演奏。「トゥバの伝統的なホーメイのスタイルを継承」という部門で入賞した。日本人がこんな賞をもらうことが誇らしい。

寺田さんは、「トゥバでよく歌われているもの、自分でトゥバ語で作詞したもの、日本語に翻訳してみたものなどを混ぜたオリジナルのホーメイ」を歌い、トゥバ人にしかわからない内容で、現地の人から驚きの拍手が起きていた。かなりハイレベルなことをやっており「名人芸(ЗА АРТИСТИЗМ )」という賞を受賞。これもすごい。いずれも30代男性たち。これから、ますます活躍してほしいものである。寺田亮平さんのブログはこちらから

続く…

2013年9月にグランプリ受賞のモングンオール・オンダールが、来日するそうです。コンサート情報載せておきます。

9月8日 大阪民博 喉歌のふるさと 大阪 民族学博物館 無料 申込
9月10日 東京 座・高円寺2 喉歌のふるさと
9月18日 横浜みなとみらい小ホール トゥバのホーメイ

料金等の詳細は、各開催会場のHPへ

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